農地転用とは?

2022年01月17日

農地転用とは、「農地を農地以外の目的に使用」にすることです。たとえば、農地を住宅地や工場用地、駐車場、資材置場など、農地以外へ変更して利用することです。

そもそも、農地とは、「耕作の目的に供される土地」であり、「たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のもの」も農地になります。

また、登記簿上の地目とは関係がなく。現状が「耕作目的の土地」であれば農地となります。

 

そして、「農地法」では、土地利用の調整と優良農地確保のために、農地転用に当たっては、原則として農林水産大臣または都道府県知事の許可を要すると規定しています。

ただし、市街化区域内の農地の転用に関しては、農業委員会に届出すれば、許可は必要がないとされています。市街化区域と市街化調整区域については、こちらをご参照ください。

 

 

 

農地

農地転用許可の種類について。

農地転用には農地法第4条に基づく許可と農地法第5条に基づく許可があります。

 

農地法第4条許可とは

農地の所有者が、自らその農地を住宅や資材置き場、駐車場などに転用する場合に必要な許可です。

農地法第5条許可とは

農地を住宅や資材置き場、駐車場などに転用するため、農地の所有者から農地を購入したり、賃貸借契約や使用貸借契約などにより農地を借りたりする場合に必要となる許可です。

 

農地転用の許可基準について。

農地転用の許可基準は、立地基準一般基準の二つに分けられます。

 

立地基準について…

立地基準は5つに分類され、区分によっては農地を転用できません。
基本的には、農地として高い生産力を持つ場合には許可されず、市街地化が進んでいる地域では許可されやすくなります。

 

農用地区域内農地

農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地で、転用は原則不許可となります。転用するには、農用地区域から除外されることが必要です。

甲種農地

市街化調整区域内の土地改良事業などの対象となった農地など、とくに良好な営農条件を備えている農地で、原則不許可となります。ただし、一部の内容では例外として転用が認められています。(詳しくは農業委員会へお尋ねください。)

第1種農地

10ha以上の規模の一団の農地や土地改良事業などの対象となった農地など、良好な営農条件を備えた農地 で、原則不許可となります。ただし、一部の内容では例外として転用が認められています。(詳しくは農業委員会へお尋ねください。)

第2種農地

市街地化が見込まれる区域にある農地又は生産性が低い小集団の農地で、周辺の土地に立地することができない場合など、条件を満たした場合は許可となります。

第3種農地

 市街地化が進んだ地域にある農地で、原則許可となります。

 

一般基準について…

農地転用の確実性や周辺農地等への被害の防除措置の妥当性などを審査され、次の何れかに該当する場合は、許可されません。

① 転用行為を行うのに必要な資力及び信用があると認められない場合。

② 申請に係る農地の転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていない場合。(賃貸借契約など)

転用許可を受けた後,遅滞なく(おおむね1年以内),申請に係る農地を申請に係る用途に供する見込みがない場合。

申請に係る事業の施行に関して行政庁の免許,許可,認可等の処分を必要とする場合においては,これらの処分がされなかったこと又はこれらの処分がされる見込みがない場合。

申請に係る事業の施行に関して法令(条例を含む。)により義務付けられている行政庁との協議を現に行っている場合。

計画地区内に農地以外の山林,原野等の土地が含まれている場合には,それらの土地が申請に係る農地と一体として申請に係る事業の目的に供する土地として利用できる見込みがない場合。

⑦ 申請に係る農地の面積が申請に係る事業の目的からみて適正と認められない場合。

⑧ 申請者が法人である場合には,申請に係る事業の内容が法令又は定款・寄附行為において定められた目的又は業務の範囲に適合すると認められない場合。

 

また、次のいずれかに該当するときには,周辺農地の営農条件への支障があるものとして許可されません。

① 土砂の流出又は崩壊のほか,ガス,粉じん,鉱煙の発生等により周辺の農地の営農条件への支障が生ずるおそれがあると認められる場合。

② 農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。

③ 申請に係る農地の位置等からみて,集団的に存在する農地を蚕食し,又は分断するおそれがあると認められる場合。

④ 周辺の農地における日照,通風等に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。

⑤ 農道,ため池その他の農地の保全又は利用上必要な施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合。

 

 

 

農地

農地転用について注意すること!

 

許可を受けずに転用した場合罰せられることがある!

許可を受けずに転用した場合や許可申請の際に提出した事業計画のとおりに転用されていない場合は、工事の中止や原状回復の命令がなされる場合があります。

また、場合によっては、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下)と厳しい罰則が科せられることがあります。

 

農地は転用したら終わりではなく、登記簿上の地目変更が必要です!

農地は、田や畑といった地目になっていますが、農地の転用手続が行われると、その土地は農地でなくなってしまうため、登記簿上の地目も変更する必要があります。この手続きは地目が変更されてから1ヶ月以内に行うこととされています。

 

固定資産税が上昇する!

農地は宅地よりも、課税額が低めに設定されているため、農地を宅地などに変更した場合、固定資産税が上昇します。

 

 

まとめ

今回は農地の転用を解説してきました。

農地転用は、地域や申請者によって手続きの内容や期間が異なり、転用が認められない場合もあります。

そのため、申請を行う場合には事前に、農業委員会や行政書士、農地に詳しい不動産業者などに相談することをおすすめします。